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出会い …あ、いたいた。せんぱ~い。はぁ、はぁ…さっきの所にいなくて、探しちゃいました~はい? 水着が可愛い、ですか? あやや…その、今日のために、一生懸命選んだので… マイページ 通常 あ、せんぱ~い。ここにいたんですね~ 先輩がいなかったので、探しちゃいました。 ふぅ、先輩とはぐれなくて、よかったです~ 先輩、一緒に泳ぎませんか~? あやや、わたしの水着がどうかしましたか? 日直 登校 朝 先輩、海に着きましたね~ 何して遊びます? 先輩と海で遊べるの、ずっと楽しみにしてたんですよ~ わぁ、綺麗~ 朝の海は、キラキラしてますね~ えへへ。早速、着替えてきてもいいですか? 先輩、水着に着替えたら、戻ってきますね~ 昼 えっと、今日のために、新しい水着を持って来たんです。 どんな水着がいいか、一生懸命選んでよかったですよ~ 水着が可愛い、ですか? あやや、その…嬉しいです。 海で何をしたいですかぁ? そうですね~… 迷子になったら海の家に? あやや、大丈夫ですよ~ 夜 先輩と海でたくさん遊べて、とても楽しかったです~ えへへ、今年一番の楽しい思い出かもしれませんね~ やっぱり私服も可愛い、ですか? あやや~ 家に着くまでが、先輩との楽しいお出かけですよ? また来年も、先輩と一緒に海水浴に来たいです。 アルバイト えへへ、アルバイトを頑張って、また先輩と海に行きたいですね~ 好感度MAX どれにするかいっぱい悩んで選んだから、そう言ってもらえると嬉しいです。えへへ… あ、先輩の水着も似合って…男の人の水着は褒めなくていい? あや~でも、どうしてこんな所にいたんですか? …準備を? なんの… パラソル?…わぁ、パラソルの下に、全部の用意が~ これ、今の時間で先輩がやったんですか? 凄い早業で、とってもびっくりですよ~ デート 約束 せんぱ~い。わたしも先輩とお話しをしたいと思っていたところなんです~夏は音楽のイベントもいっぱいです。ちょっと行ってみませんか?わぁ、また先輩とお出かけできて嬉しいです。楽しみにしていますね~ 海の写真をプリントアウトしてただけなので、大丈夫ですよ~ どんな御用ですかぁ?はい、大丈夫です。…宿題? え~っと…お出かけくらいなら、大丈夫です。えへへ、これで先輩との夏の思い出が、また一つ増えますね~ 嬉しいです。 あ、はい。平気ですよ~ えへへ、先輩からのお電話なら、いつでも平気です~今度はひんやりのんびりなんていいですね~ …例えば? え~っと、そうですね~はい、その日の予定は大丈夫ですよ~ それまでにのんびりできる所を考えておきますね~ 当日 お待たせしました~ 今日はどこに行きますか? 先輩と一緒ならどこでもいいですよ~えへへ、どこに行っても楽しい夏の思い出になりますので~ ボス戦 開始 勝利 ふぅ~ 楽しみにしてたので、勝ててよかったですよ~ 敗北 バトル 開始 勝負も楽しんじゃいましょ~ 声援 波にのってやっちゃいましょ~ 勝利 先輩の勝ちですね~ えへへ、砂浜で一緒にお祝いしませんかぁ? 先輩、おめでとうございます~ 先輩が勝つと思って、かき氷を用意しておきました~ 敗北 あやや~ 負けてしまったんですねぇ。海で遊び疲れちゃったのかもしれませんね~ 先輩、残念でしたね~ 今日は海で楽しんで、明日からまた頑張りましょ~ タッチボーナス いたいた、せんぱ~い 探しちゃいました~ 海がきれいですね
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「くそったれ……!」 魔剣を構えたまま蓮司は吐き出すように声を漏らした。 蓮司の攻勢を立ちはだかるマーニは総てその巨躯で持って受け止めていた。 回避は一切しない。蓮司が抜けようとした時に限りマーニは俊敏に反応して前に立ち塞がる。 その動きからして蓮司の斬撃を回避するのはさほど難しい事ではないのは推測できる。だがマーニはそれをしない。 明らかに足止めだった。 ならば力でもって粉砕すればいいはずなのだが、それも叶わなかった。 最初の激突の際に両の腕が再生されていたのと同様、マーニは蓮司の斬撃を受けた傍から修復しているからだ。 圧倒的な再生力。元よりホムンクルスには致命以外の傷を修復する力があると聞いている。 恐らくはエミュレイターと融合した事により、それが大幅に強化されているのだろう。 攻撃を受けた傍から修復するというなら、一気に片をつけるしかない。 蓮司は意を決して魔剣を握る手に力を込めた。 自らの分身ともいえる魔剣が、主の意思を受けて脈動する。 柄にはめられた真紅の宝石が深い輝きを生んだ。 だが、それと同時に。 「!?」 マーニが地を蹴り、弾けるようにして大きく後退した。 後方にいたカズキと、そこに駆けつけていた斗貴子を追い抜いてリオンの下までかけるマーニ。 二人はマーニの動きに気付いていない様子だった。 何かに魅入られたようにリオンを凝視している。 蓮司は舌打ちして走り出した。 「……そんな、馬鹿な」 掠れるような声を斗貴子が搾り出した。 リオンの白い手に握られた黒い核鉄。 ある意味で、二人の始まりとなったモノ。 それはカズキの命と同化して、取り出す事ができないはずだ。 「――この核鉄を取り出すのは、”貴方達”では不可能。けれど、私ならそれができる」 斗貴子の言外の疑問に答えるように、リオンは囁いた。 まるで生徒に教授する講師のように、漆黒の少女は言葉を紡いだ。 「私はリオン=グンタ。世界に秘匿されたあらゆる秘密を掌握する者」 「あらゆる秘密……だと?」 「そう……例えば、あなた。津村 斗貴子」 「……?」 急に語りかけられて訝しげに睨み返す斗貴子を見ながら、リオンは薄く微笑を称える。 彼女は手にした書を広げ、その記述に眼を落としながら、小さく囁いた。 「貴女はこの前、武藤 カズキが溜め込んだ冬季休暇の課題を片付けるために二人で勉強をしていた」 「……は?」 脈絡のない話題の振り方に斗貴子は思わず呆気に取られた声を出してしまった。 しかしリオンは彼女の様子を気にする風もなく、更に言葉を続ける。 「しかし途中で武藤 カズキが寝入ってしまい、起こそうとしたけれど無防備な彼の寝顔に思わず――」 「うわああぁあああぁぁぁっ!!?」 唐突に斗貴子が叫び声を上げてリオンの声を遮った。 火を噴きそうなほどに顔を真っ赤にして、彼女はらしからぬ挙動で手をばたつかせる。 「なっ、なななな何故それを――違う、お前っ、何を言ってるんだ!!」 「私は”秘密侯爵”。お前の秘密を知っている……」 「と、斗貴子さんが寝入ったオレにどうしたんだ!?」 「なんでもない!! なにもしていないっ!!」 「……エロスはほどほどに」 「エロス!?」 「黙れリオン=グンタ! 貴様ふざけてるのかっ!!」 弛緩した空気を叩き壊すかのように斗貴子は地面を蹴り、ギッとリオンを睨みつける。 先の接触とは別の形で殺気を放っている斗貴子を眺めやりながら、リオンは愉しそうに口の端を歪めた。 「だって、もう『用事』は終わったから」 リオンの囁きと同時にカズキと斗貴子の背後から突風が吹き、巨大な影が二人の脇を通り抜けた。 影――マーニはリオンの下まで走り寄ると、傅くように身を沈める。 「このまま何もしないのなら、大人しく引き下がるのだけど……」 言いながらリオンはつと目線を移し、マーニを追って二人の下まで辿り着いた蓮司を捉えた。 蓮司は油断なく剣を構え、リオンの手にしている黒い核鉄に眼をやりながら口を開く。 「――事情はよくわからねえが、ソイツを手に入れて終わりって訳じゃねえだろ。何を企んでやがる……?」 「………」 リオンは答えなかった。 彼女は問われる限りにおいて偽らないと語った。 それを沈黙で返すという事は、その回答は蓮司達にとって不都合なものなのだろう。 「逃がすかよ……!」 切っ先をリオンに向け、じりと間合いを詰める。 斗貴子も気を取り直してバルキリースカートを展開し、カズキもまた己の胸からサンライトハートを展開させた。 黒い核鉄は奪われてしまったが、彼の身体にはその黒い核鉄の力を相殺するためのもう一つの白い核鉄が埋まっている。 パピヨンの手によって創られたそれは、力の作用はどうあれ核鉄である事には違いなかった。 故にカズキは今だ命を繋いでおり、そしてそれを武装錬金として発動させる事も可能のようだった。 光と共に形作られるランスを見やりながら、リオンは小さく息を吐く。 ――『本来の目的』とは違うが、せっかく手に入れたのなら試してみるのも一興か。 まるで世界の存亡を遊戯と称し享楽に耽る『彼女』のようだ、とリオンは皮肉気に微笑を閃かせた。 「………」 言葉なくリオンは三人に向かって腕を向ける。 その手に握られるのは、錬金術によって生み出された超常の核鉄。 「――!?」 「まさか――!」 斗貴子とカズキの顔が僅かに強張る。 戦慄の声を漏らす二人に応えるようにリオンは笑みを深くし、静かにその言葉を紡いだ。 「――――――――武装錬金」 ※ ※ ※ 「粉砕! ブラボラッシュ!!」 鍛え上げられた拳の散弾が迫る黒狼達の悉くを打ち砕く。 闇の破片となって吹き飛んでいくそれらを掻い潜るようにして黒狼がナイトメアに迫る。 振り下ろされる爪牙の前に、剛太が割り込んだ。 ナックルダスターで敵を打ち砕く。その隙に、ナイトメアが残る敵に向かって手を翳した。 「《リブレイド》!!」 力ある言葉と共に不可避の閃光が放たれ、黒狼達を包み込む。 紅の世界を染め上げるような白色に溶けるように黒狼達は消え去っていった。 ――くれはと同様に、ナイトメアにも広範囲を殲滅する魔法を所有していた。 だが、くれはのような高速術式を持ち得ない彼では、その長大な魔法を行使するには敵の数が多く、壁となる味方の数が少なすぎる。 結果としてブラボー・ナイトメア・剛太の三人は対症的に迫ってくる敵を逐次叩き続ける展開を余儀なくされ、悪戯に時間だけを消費していた。 だが、いかなクリーチャーとは言え無限無尽蔵に沸いてくると言う訳ではないようだった。 気付けば周囲を囲う黒狼達の壁は薄くなり、その攻撃も散発的になっていた。 「抜けるぞ、二人とも」 ブラボーの声に二人は頷き、そして三人は同時に地を蹴った。 動きに合わせて黒狼たちが駆ける。 行く手を阻むように前方の壁が厚くなり、後方から追撃の黒狼達が殺到する。 委細構わず壁を粉砕しようとブラボーが拳を構えた、その瞬間。 「……!」 黒狼達が塞ぐ前方の壁、その向こうで。 それまでに打ち倒し、今だ残る黒狼達のそれを総て合わせてもなお上回るほどの圧力が迸った。 「いかん……ブラボー!」 「わかっている!」 足を止めてブラボーは腰溜めに構え、全身に力を溜める。 移動に力を裂くような余裕などなかった。 背後から迫る殺気など、前方のそれに比べれば意識するにもあたわない。 「《フォース・シールド》ッ!!」 ナイトメアが光の結界を展開した、その刹那。 周囲の黒狼達を総てなぎ払い粉砕する、暴圧的な衝撃波が炸裂した。 「ぉおおおおっ!!」 放たれた圧倒的な力に、渾身の力を込めて正拳を叩きつける。 衝突した力の衝撃に周囲の地面が粉砕され、ビルの壁面が崩壊する。 そして真っ向からぶつかり合った力が吹き払われた後、残ったのは静寂。 黒狼達はその悉くがその衝撃に巻き込まれて消滅していた。 「――我が一撃を避けるではなく、受けるか。やはり有象無象では時間稼ぎにしかならぬな」 鋭い眼光を向けるブラボーの見つめる先で、がしゃりと金属音が響いた。 甲冑を纏ったその女は、露を払うようにして手にした魔剣を振り、三人を見据える。 その女はただそこに立っているだけだった。にも拘らず、彼女からは手にした得物と同じく鋭い剣気が放たれている。 「……魔王か」 「いかにも。我が名は”女公爵”モーリー=グレイ。主命により貴様等を討つ」 (主命、だと……?) モーリーの声を受けて、ナイトメアが浮かべた疑問がそれだった。 ”女公爵”モーリー=グレイ。裏界の序列第三位の階梯たる大魔王。 ベール=ゼファーによれば今回の件の首謀者は序列四位の”秘密侯爵”リオン=グンタとの事だ。 敵であるベルの発言を鵜呑みにするわけにもいかないが、少なくともモーリーが主命と言うのなら、彼女以上の存在が裏で糸を引いているはずだ。 モーリーよりも上位にある存在。そしてそれは今回の件に反目の意を示しているベール=ゼファーではない。 とするなら、残るは―― 「!」 まさに思考を断ち切るように、モーリーが手にした魔剣を一閃した。 おそらくは無造作に行っただけの行為に、彼女の足元の地面が割れ空気が圧力を増す。 ナイトメアは思考を中断し、意識を眼前の敵にのみ傾けた。 余計な事に気を取られていれば、即座にその身が両断されるだろう。 彼は掌に魔力を込め、力を紡ぎ出した。 剛太もまたモーターギアを構え、モーリーの正面に立つブラボーも、腰を僅かに沈める。 臨戦態勢に入った三人を静かに見据えながら、甲冑の魔王は静かに眼を細めて魔剣を構えた。 「貴様等に往く道はない。我が魔剣がその総てを斬って捨てる」 「――押し通る!!」 ブラボーが地を蹴り、モーリーが地を蹴り、両者の立つ地面が爆ぜた。 側面に回る気配など微塵もない。 奇しくも白銀をまとう両者は真正面から激突し、魔剣と剛拳の衝突に世界が震撼した。 ※ ※ ※ リオンの言葉と共に彼女の手に収まっている黒い核鉄が展開する。 同時に圧倒的な閃光が迸り、紅の世界を一瞬だけ白色に染め上げた。 そして蓮司達が眼にしたのは――巨大な砲身だった。 「な、なんだよコイツは……」 目の前に出現したソレに見入ったまま、蓮司が愕然とした呟きを漏らす。 それは一見して判断するならば戦車にも似ていた。 だが、数十mはあるだろうその巨大さは全容を確かめるのが困難で、その印象を伺えない。 まるで煙突のように天に伸びる砲身。それを支える胴体部。 内部に乗り込む、と言うよりは外側に取り付くのだろうか、側面などにタラップが見える。 「……『ドーラ砲』」 声を上げたのは蓮司達の後方、傷付いた沙織と彼女の治療に当たっているくれはを護衛している灯だった。 蓮司達に比して遠目だった彼女の位置からは全容を把握しその正体を看破する事ができたのだろう。 「二次大戦時、ドイツ軍が実用化した80cm列車砲。射程は約30km~47km、使用砲弾は4.8t榴弾もしくは7.1t徹甲弾」 すらすらと解説する灯と、出現した列車砲の威容に愕然……というよりは呆気に取られている蓮司達をよそに、リオンは屹立しているソレを 珍しく喜色を称えた表情を見上げていた。 「素敵……D311型があれば完璧だったんだけど」 黒光りする装甲を撫で擦り、彼女はゆっくりと蓮司達を振り向いて、彼等に向かって手を差し伸べた。 同時に、巨大な列車砲が振動した。それまで感じた事もない膨大な魔力が膨れ上がり、砲身へと収束していく。 明らかな攻撃の意図。砲に込められた力の強大さに蓮司達の全身に戦慄に似た悪寒が駆け巡る。 「くっ……!」 灯が述べた情報を信じるなら明らかに有効射程圏外だ。おまけに肝心の砲身は今だ天を仰いだまま。 更に言えば、列車砲の巨体。接近して張り付いてしまえば列車砲を無力化できるだろう。 だが、リオンが生み出したモノ――殊にそれが武装錬金であるのなら、眼の前にある列車砲が通常通りの規格であるはずもなかった。 迂闊な接近は正に思う壺なのだろうが、他に有効な手立てがなかった。 蓮司が歯噛みして地を蹴り、同じ結論に達しただろうカズキと斗貴子も走り出した。 その瞬間、蓮司は重大な事に気付いた。 「!!」 「蓮司!?」 渾身の力で踏み止まり、踵を返す。 蓮司の不可解な行動にカズキと斗貴子は一瞬だけ逡巡して、それを悟った。 リオンの造り出した列車砲に近接戦への対処法がなかった所で、自分達にその選択肢がなかった事に。 三人はリオンと充満する砲身の魔力に見向きもせず、背を向けて走る。 その先にいるのは、灯とくれは、そして沙織。 彼女達はあの場所からまともに動けないのだ。 「くそ……っ!」 三人の元まで辿り着き、改めてリオンを見据える。 彼女は酷薄な微笑を浮かべたまま、蓮司達を眺めていた。 巨大な砲身から雷光にも似た魔力が迸る。 退避する時間などなかった。そもそも、あの砲撃に対して逃げる場所があるとも思えない。 蓮司が魔剣を盾代わりに構え、プラーナを解放する。 カズキがランスの地面に突き刺し、背後の五人を守るようにエネルギーを展開する。 収束する魔力に対して余りにも無力に過ぎるその防衛線を見つめて、リオンは小さく声を漏らして笑った。 そして宣告する。 「―――臓物をぶち撒けなさい」 天に放たれた膨大な魔力が、紅の世界を染め上げるように降り注いだ。 ※ ※ ※ 魔剣と剛拳が交錯した。 瞬間、衝撃の余波で地面が砕けビルの壁面が割れ、張り巡らされたガラスが砕け散り吹き飛ぶ。 それだけの威力の一撃を正面から叩き込み、そして叩き込まれた両者は弾けるように吹き飛んで、数m後退した後停止した。 モーリーが再び攻勢をかけようとブラボーを見た、その瞬間。 閃光が視界を覆った。 「《リブレイド》ッ!!」 「はぁっ!!」 剣刃、一閃。 避けきれぬと悟ると同時彼女は手にした魔剣を振りぬく。 魔力の塊をその一振りで叩き斬った後、彼女はその刃を翻した。 光の中からブラボーが躍り出る。無論、彼女がそれを予期しないはずがない。 返しの刃をブラボーの胴に叩き込む。 彼の纏うシルバースキンと魔刃が交錯し、火花を散らす。 一太刀で地を割り山を裂く魔剣の一撃は、しかし武装錬金の中で最硬を誇るシルバースキンを打ち砕くには至らなかった。 ち、と舌打ちをして片手を上げる。 装着した手甲から腕、肩、身体まで貫く圧倒的な衝撃。 腕で防御すると同時に地を蹴ってその衝撃を緩和する。 その隙間を縫って飛来する何か。おそらく投擲武器。 それをモーリーは僅かに動くだけで対処した。 避ける程には動いていない。甲冑の隙間を狙ったそれを、打点をずらして甲冑で受け止めただけだ。 魔剣を受け止める徒手空拳の男と、魔法を放つ背後の男。 これは彼女にとって対処に値する存在だった。 だがもう一人……投擲武器を扱う少年は、脅威と断ずるはおろか対処を意識する必要もなかった。 彼女のそんな判断は、少年――剛太にも容易に見て取れていた。 (くそっ……歯牙にもかけやがらねえ……!) 彼の持つ武装錬金、モーターギアは攻撃力において他の多くの武装錬金に劣る。 それは彼自身が一番理解していた。 だが、それでも剛太は自らが戦士であるという自負を持っている。 にも拘らず、目の前の敵は剛太の事を一瞥にも値しない存在だと判断していた。 それが彼には腹立たしかった。 「そのコート……見てくれよりは硬いようだな」 剛太の憤りを他所に、モーリーはブラボーだけを見据えて小さく呟く。 瞬間硬化による衝撃相殺と、高速再生による修復機能。 数合の接触のみでシルバースキンの特性を看破した彼女は、眼を細めて魔剣を強く握り締めた。 モーリーの纏う魔力と剣気が更に膨れ上がる。 それまでよりも更に鋭さを増した魔剣を構え、モーリーは―― 「――!?」 瞬間、世界が砕けた。 紅く染め上げられた世界がガラスのように砕け、周囲は暗闇の世界に包まれる。 同時にモーリーの魔力が減退し、彼女は僅かな驚愕と共に天を仰いだ。 それまで世界を照らしていた紅の月は姿を隠し、代わりに仄かに青白い月が漂っている。 「……っ!」 同時に走りぬけた悪寒にモーリーは反射的に地を蹴って後退した。 それまで彼女のいた場所を、ブラボーの拳が通り抜ける。 ち、と舌打ちしてモーリーは中空へと飛び上がった。 「リオン……!?」 空へと退避した後、モーリーは再び青白い月に眼をやって呟いた。 状況を解説するのは簡単だった。 月匣が解除されて、通常の世界へと戻っただけだ。 しかし、単に戻っただけであるのならモーリーは動揺などする事はない。 彼女が戸惑ったのは、その通常の世界への『戻り方』だ。 これは月匣を展開したリオンがそれを解除したのではない。何者かによって月匣が『破壊』されたのだ。 向こう側の勢力によって倒された、という訳ではないだろうが、不測の事態があったのは間違いない。 モーリーは柳眉を歪めて地上にいる三人を見やる。 彼女自身が月匣を展開して戦闘を続行する、というのも手ではあった。 だが、今回の件がリオンに一任されている以上放っていく訳にもいかない――というより、リオンが欠けるなら三人と戦う意味がなくなる。 モーリーは一度瞑目した後、手にした魔剣を虚空に消し去ってその場から姿を消した。 それまでの破壊がまるで幻であったかのように普段通りの街並みを取り戻した世界の中、ブラボー達はようやく合流のために動き出す事ができた。 ※ ※ ※ 白い閃光が総てを埋め尽くす。 リオンが造り出した列車砲から放たれた魔力は、五人の防御の限界を遥かに越えていた。 無駄だと悟りつつ、そして絶無の可能性を理解しつつ、それでも五人は閃光に対して身構える。 蓮司が放出したプラーナも、カズキが放出したエネルギーも、迫りくる暴圧の前では紙切れにも満たない。 一瞬にして防御が打ち砕かれ、身体が魔力に呑まれる。 痛みさえも感じないのが、救いといえば救いだった。 蓮司が、カズキが、斗貴子が、くれはが、沙織が、光に消える。 そんな中で一人だけ。 灯だけが、その声を聞いた。 『悪いが、お前はここで退場だ』 「―――」 それが誰の声であるか、灯にはわからなかった。 ただ彼女に理解し得たのは、自分の胸から、鮮血に染まった誰かの腕が生えている事だった。 『特別に、ここにいる連中は助けてやろう。 だからお前は安心して舞台を降りるがいい』 「―――」 ごふ、と口から血を吐き出す。 そして腕を抜かれた胸から、口から出た以上の鮮血が溢れ出した。 何時の間にか、膝をついていた。 気付けば自らが作り出した血だまりに倒れこんでいた。 『お前に相応しい舞台は、ここではないのだからな――』 「―――」 嗜虐と嘲りに満ちた誰かの声。 最近聞いたような気がする。いや、もっと以前か。 一年? 十年? 百年? あるいはそれ以前、遥か遥か遠い場所。 流転する運命の鎖が遡る、その果てで。 同じような痛みを感じながら、ダレかと共にその声を聞いた―― ※ ※ ※ 「……いけない」 武装錬金を核鉄に戻しながら、リオンは溜息と共にそんな言葉を吐き出した。 頼りない月明かりが照らす銀成学園のグラウンドは、もはや見る影がないほどに完全崩壊していた。 だが、それでも先の攻撃の規模からすれば僥倖とも言うべき被害だろう。 月匣がなければグラウンドどころかこの学校が存在する丘そのものが消失していたはずだ。 もっとも、リオンにとってみれば人間たちの学校やその住居がどうなろうと関わりのない話である。 彼女にとって計算外だったのは、武装錬金による攻撃が彼女の予想よりも大きかった事だった。 出現した列車砲を見て、自覚以上に高揚してしまっていたのだろう。 高まりすぎた出力が自らの展開した月匣をも粉砕してしまったのだ。 威力という点だけで見れば、裏界に存在する本体にも近しいその一撃。 無論、その直撃に晒された蓮司やカズキ達が耐えられるはずがない。 ”殺す予定ではなかった”のだが、これでは臓物どころか欠片一つも残らない―― 「……?」 リオンはソレを見止めて僅かに眉を潜めた。 何もかもが崩壊したその瓦礫の中に、六人がいた。 恐らく意識はないのだろう、全員倒れ伏して微動だにしない。 だが、彼等は生きていた。 戦闘不能ではあるが、間違いなく生きている。 いかに防御魔法を張ったとて、いかにプラーナを全開にしたとて、耐えられる規模の攻撃ではなかったはずだ。 ありえない状況を前にしてリオンはほんの僅かに動揺し―― 「……少々遊びすぎではないかな、リオン?」 その間隙を突くように、背後から肩を抱かれた。 「っ!!」 心臓を鷲掴みにされたような悪寒にリオンは身を震わせた。 だが、身体を動かす事はできなかった。 まるで抱き竦めるように肩に手を回されていたのもある。 だがそれ以上に、その声を聞いてリオンは硬直してしまったのだ。 それは男の声だった。 まるで恋人にそうするように優しく、しかし堕落を誘う蛇のように絡みつく声色。 リオンは背後から自分を抱く男に眼を向ける事さえできず、普段の無表情からは想像し難い震えた声を搾り出した。 「魔王、アスモデート……」 自らを呼ぶ声を受け止めて、アスモデートは満足そうに微笑を浮かべた。 そして彼は身を竦ませているリオンを宥めるように黒髪を優しく梳く。 「ガアッ!!」 その場において唯一動き得たのは、リオンの傍に侍る巨狼――マーニだった。 咆哮と共にマーニはアスモデートに爪牙を振るう。 しかし彼は身構えるでもなく、彼女の髪を撫でながら、その眼だけをマーニに向けた。 瞬間、マーニの身体が吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。 四肢を刹那の間に切断されて、胴体と頭だけになった巨体が押し潰されるように地面に貼り付けられた。 「分際をわきまえろ、狗風情が」 マーニに眼を向けたまま、アスモデートが唾棄するように呟いた。 アスモデートの意識が僅かなりともマーニに向けられた事でどうにか気を取り直したのだろう、リオンが掠れるような声を漏らした。 「アスモデート……何故貴方がここに」 「何故? 決まってるだろう。ようやく待ち望んでいた刻が来たのだ、あの娘を殺される訳にはいかないんだよ」 話しかけられた事で気を良くしたのか、アスモデートは再びリオンに眼を向けて笑みを浮かべた。 彼は今だ視線を合わせないリオンの顎に、鮮血に濡れた手を寄せて顔を上げさせた。 触れられる度にリオンの身体を怖気が走り抜けるが、彼女は抵抗できなかった。 彼女の身体を弄ぶこの魔王は、その気になれば今しがたマーニを一蹴してみせたようにリオンを消し飛ばす事もできる存在だからだ。 リオンの嫌悪と恐怖がない交ぜになった顔を見つめながら、アスモデートは愉悦に満ちた笑みを浮かべてみせた。 「それに、君も助かっただろう? なんせアレを死なせてしまっては、『あの女』の小細工も無意味になってしまうのだからな」 「……!」 リオンは驚愕に眼を見開き、アスモデートを凝視した。 彼女のそんな視線を受けて、彼は苦笑を閃かせる。 「おいおい、まさか私が気付いていないとでも思っていたのか? 随分と侮ってくれる――ああ、いや。『あの女』はいつでも他者をナメているんだったな」 くつくつと昏い笑みを零しながら、アスモデートはリオンの頬を指で撫でた。 緋室 灯の血で染まった指がリオンの白い頬に紅い痕を引く―― 「……この、下郎がっ!!」 横合いから暴圧的なまでの魔力が叩きつけられた。 アスモデートと、彼が抱いているリオンとを構わず粉砕するような斬撃が放たれる。 彼はリオンを開放し、激情のままに振るったモーリーの魔剣を片手で受け止めた。 いかなアスモデートとはいえ裏界屈指の大魔王たるモーリーの一撃を完全に防ぐ事などできはしない。 彼は爆砕するかのような衝撃を受けて吹き飛び、モーリーとリオンから数十メートル離れた場所でようやく停止した。 「やれやれ。男と女の秘め事に割って入るとは……相も変わらず無粋だな、モーリー」 魔剣を受け止めた手を軽く振りながら、アスモデートは余裕の表情を崩さずにモーリーを見据えた。 彼女は嫌悪感も露にアスモデートに向かって魔剣を構える。 「アスモデート……貴様、何故ここに居る!」 「それはもうリオンに言ったんだが……まあいいか」 言ってアスモデートはグラウドに倒れ伏している六人――その中でただ一人、胸を穿たれている灯に眼を向けた。 彼女の血で染まった指を舐めて、彼は口の端を歪める。 「こちらの要求は一つだけだ。この場は大人しく去ってもらおう。自分でやっておいてなんだが、アレは速やかに治療してもらわねばならんのでな。 緋室 灯を戦線から外してしまえば後はお前達がどうしようが私は手を出さん」 「我々がそれを信じると思うのか」 「……相手はいなくなってしまったが、私とて遊戯に興ずる身。お前たちの『遊び』の邪魔はせんさ。 生憎こちらは準備がもう少しかかる……私の手番は次の機会としよう」 「……『次』などありません。この書物に記された結末は――」 「いいや。お前達の企みは失敗する」 書物を抱える手に力を込めて語るリオンを遮って、アスモデートはそう断言した。 予言を否定されたリオンは小さく眉をしかめるが、委細構わずアスモデートは言葉を続ける。 「例え私がこれ以上手を出さずとも、例えお前の書に企みの成就が記されていようとも、ソレは必ず失敗する。何故なら――」 アスモデートは天地総てをかき抱くようにゆっくりと腕を広げた。 そして陶酔と恍惚が極まった、見る者に戦慄を与えるような凄絶な笑みを浮かべながら、魔王は宣言する。 「世界を滅ぼすのは、この私――魔王アスモデートだからだ」 ――およそ裏界に存在する者の中で、この男ほどに『魔王』という呼称が相応しいモノは存在しない。 ”金色の魔王”ルー=サイファーや”蝿の女王”ベール=ゼファーと並び謳われる『悪徳の七王』が一角。 この世界の神の力を以てしても倒しきる事が叶わないほどの超越的な力を誇る暴虐の大魔王――それがこのアスモデートだ。 「……モーリー。ここは退きます」 「リオン!?」 驚愕の視線を送るモーリーに、リオンはアスモデートを見つめたまま小さく頭を振った。 彼の手によって頬に引かれた朱線を拭い、元の無表情をようやく取り戻してから彼女がモーリーを見る。 「元より彼等は生かしておく予定でした。ここで彼と戦うのは得策ではありません」 理屈ではそうだろうが、ここで納得できるようなモーリーではない。 だが、今回の件を主導するリオンがそう言うのなら、彼女としては引き下がらずを得ない。 口元をいびつに歪ませ、不遜な態度でこちらを見やる魔王に眼を向けて、モーリーは怨嗟を込めて言葉を放つ。 「アスモデート……貴様は必ず妾が滅する」 「お前には無理だ。まあ、『飼い主』が一緒に来るというのであれば、遊んでやってもいいぞ?」 「……っ」 嘲りを露にしたアスモデートの態度にモーリーは唇を噛み、怒気を膨らませる。 今にも弾けそうな彼女の魔力を制止したのは、リオンの細い腕だった。 僅かに震えているリオンの身体を見てとって、モーリーは口惜しげにアスモデートを一瞥すると、その場から姿を消した。 「ここで引けば、貴方はもう手を出さないのですね?」 「勿論だとも。私は紳士だからな」 おどけるように肩を竦めるアスモデートにリオンは僅かに眉根を寄せてたが、それ以上は何も言わずに距離を取った。 魔力によって縛り付けられるマーニの元まで辿り着くと、彼は指を弾いてその戒めを解除する。 そしてリオンは最後にアスモデートに眼を向けた。 「では私は観客に戻るとしよう。楽しませてくれよ、”秘密侯爵”」 彼はまるで道化師の如く、しかし慇懃に一礼をしてみせる。 ソレに一切応える事なく、リオンはマーニと共に姿を消した。 そして語らう者のいなくなったその場所で、アスモデートは静かに回りを睥睨した。 崩壊したグラウンド。そこに倒れる六人。 倒れこんだ武藤 カズキと津村 斗貴子。 胸を貫かれた緋室 灯。 河井 沙織と、彼女に覆いかぶさる様に意識を失っている赤羽 くれは。 そして最後に――彼の競争相手でもあった、魔王ディングレイを堕とした魔剣使い。 「……ふ」 堪えきれなくなったのか、彼は僅かに背を丸めて吐息を漏らし――やがて弾けるように笑い出した。 アスモデートは天を仰ぎ、狂ったように哄笑する。 「はは……あはははははっ! さあ頼んだぞ錬金の戦士! 星の巫女! そして柊 蓮司! 世界の命運をお前達に託そうではないか! 存分に踊り狂って楽しませてくれ!!」 高らかに謳いながら、アスモデートは夜空に溶けるようにしてその姿を消していく。 そして、蟲の羽音のように不快な嗤い声の残響だけが、暗闇に沈む世界に残った。 ← Prev Next →
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KZ/072 R 水着のトモノリ/吸血忍者 女性 パートナー ビーチバレー中 トモノリ/吸血忍者 女性 レベル 4 攻撃力 4000 防御力 6500 【学園妻としては腕がなるぜ!】《元気》《妄想》 【自】 このカードがリングからリタイヤ置場に置かれた時、あなたのリングの《元気》を選び、そのカードの次のアタックはパートナーアタックになる。 作品 『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』 関連項目 《妄想》 これはゾンビですか?&これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド 笑顔のトモノリ/吸血忍者
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"水着"の「紅葉 知弦」 読み:"みずぎ"の「あかば ちづる」 カテゴリー:Chara/女性 作品:生徒会の一存 属性:地 ATK:1(+2) DEF:2(+3) [自動]このキャラが登場かレベルアップかオートレベルアップした場合、自分の"水着"1体を【裏】から【表】にする。 [自動]このキャラがガードキャラに選ばれた場合、カード1枚を引いてもよい。 R:ちょっと小さいけど RRR:あ、アカちゃんポロリ illust:服部憲知 SI-008 R RRR 収録:ブースターパック 「OS:生徒会の一存 1.00」
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autolink DC3/WPR-P13 カード名:ピンクのフリフリ水着 姫乃 カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:5000 ソウル:1 特徴:《新聞》? 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分の山札を上から1枚見て、山札の上か控え室に置く。 …… レアリティ:PR
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ラシェ 段差上り 浮かしx6 エさん奮闘記 ぼっち動画 ボス ウォーリーの地下研究所(一般) … ウォーリーの地下研究所(ヘル) 竜の巣:奈落(一般) 運送トンネル:汚染区域(一般)
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MTL/128 TD 水着のララ/デビルーク星人 女性 パートナー 聖夜のララ/デビルーク星人 女性 レベル 1 攻撃力 2000 防御力 4000 【浜辺は気持ちが良いね~♪】《宇宙人》《王族》 【スパーク】【自】あなたのベンチの作品名に“To LOVEる”を含むカードが3枚以上なら、あなたは相手のベンチのカードをすべて選び、【レスト】する。 作品 『もっとTo LOVEる -とらぶる-』 5月11日 今日のカードで公開。
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第007話 「みんなでお食事」 (6) 「私、武藤まひろ! まっぴーって呼んで!」 細身にまとわりつく元気いっぱいの少女に、ヴィクトリアはひどく嫌気が指してきた。 生徒たちからの質問攻めが終ったと思ったら今度はコレだ。 「すごい、びっきーがもう来てるー!」と叫びながら飛びついてきたと思えば、背後から抱きつ いたり髪をいじりまわしたり、人差し指と親指で作ったリングを目の前にかざして「79」と意味 不明の断定を下したり、「ね、ね、斗貴子さんと同じ制服だけどどういうカンケイ? ああでも いいなー斗貴子さんとペアルック。私も着たいー!」と好き勝手に騒ぎ散らしている。 (次から次へと鬱陶しいわね。どこがいい学校よ) だが、わざわざ猫をかぶって反応する自分のちぐはぐさにも腹が立つ。 イヤならば本性を露にし、楽しくて光に満ちた暖かな空間を壊して立ち去る方が良いのだ。 だがそれをしない、もしくはできない自分が嫌で嫌で仕方ない。 地下で闇に溶けてた醜さが、地上の光に浮き彫られているのが分かる。 心はひたすらねじくれて、肉体のみならず精神までも化物じみているのが分かる。 吐き気がする。心が暗い渦を巻く。 ココに誘った秋水が、元信奉者で戦士という錬金術の色濃き肩書きが、恨めしくて仕方ない。 ヴィクトリアの人生の大半は、そんな暗い感情の集積だ。 それでも、母が生きていた頃はまだ良かった。 奪われた大事なモノを取り戻す、確かな行動が日々に組み込まれていた。 そっけなくて硬さを帯びた言葉にも、毎日答えてくれる母がいた。 そのどちらも、最早ない。 100年の研究成果は父を人間に戻すには至らず、母は死んだ。 (いっそあのアイツが私を殺しに来ていたなら──…) どれほど楽だったろうと沈んでいる所に声が届き、彼女は身をすくませた。 「こらまひろ。困っているでしょ。やめなさい」 その声にまひろは渋々ながらに引き下がり、「また後で!」とカレーをよそいに行った。 「ゴメンね。悪いコじゃないんだけど、ちょっと元気すぎて」 申し訳なさそうに謝っているのは、眼鏡をかけた大人しそうなおかっぱ頭の少女だ。 ヴィクトリアは息を呑んだ。 優しそうに「あ、私は若宮千里。一緒にカレー食べる?」と誘う笑顔に、目が釘づけられた。 (……ママに似てる) 逆向逃亡後、秋水はまひろや斗貴子ともども食堂に戻ってきた。 道すがら、武装錬金を使えるコトを他の生徒へ秘密にするよう頼むつもりだったが、 「大丈夫。さっき見たコトはナイショにしておくからッ!」 力いっぱいの形相で機先を制したまひろの様子からすれば大丈夫そうだ。 ただ、続けて「最初はビックリしたけど、お兄ちゃんの仲間なら尚更だよ」 と微笑された瞬間、秋水の胸に重苦しい気配が満ちはじめた。 「うん。お兄ちゃんと剣道の稽古してたのも、みんなを守るためだったんだね。偉いね」 言葉が詰まった。どうしようもなく。斗貴子の目線が険しくなるのも感じた。 (逆だ) 理念は桜花を守る一点だけで、他の生徒は『食い物』──血肉をL・X・Eへ捧げんがために 信頼を培う二重の意味──過ぎなかった。 その戦いの末に秋水は敗北を喫し、カズキを背後から刺した。 そして今は無条件に得た信頼が却って胸に突き刺さる。 謀るにはあまりに無垢な相手で、けれど真実を告げたら再び泣かしてしまいそうで。 そもそもまひろが泣くコトを嫌だと思う心情はどこから来ているのか。 自分との共通項ゆえか、全く違う別の感情ゆえか…… (…………) 思い起こしてみれば秋水は、まひろに対してもひどい仕打ちを目論んでいた。 桜花が死ぬのを誰よりも何よりも恐れておきながら、まひろの兄を濁った瞳で刺した。 謝罪すべきはカズキにもだが、まひろにもだろう。 だがその言葉をまとめる前に食堂へ到着し、まひろはお礼をいうとヴィクトリアへ殺到した。 手持ち無沙汰な心情で斗貴子の蔑視を浴びつつ、秋水は防人へ報告した。 戦士一同はテーブルに座って、カレーを前にしている。 この中で何故か桜花の顔が少し赤く、秋水は体調を心配した。 「やはりサテライト30(サーティ)か」 防人のいうそれは、「創造者を2~30体に分裂させる」武装錬金。形状は月牙。 コレにより現れる分裂体は総て本物。1体でも残っていれば再び増殖が可能であり、限りなく 不死に近い武装錬金の一つである。 「震……逆向に吸収されても無事なワケだ」 テーブルの下で御前がヒソヒソ呟くと、千歳も頷いた。 「顔を無くしていたのも特性の一つね。新月、だったかしら?」 「ああ。だが、確かにムーンの奴も一体一体顔の形が違ったが……それまで再現できるとは」 先ほど桜花と防人の挟撃を受けた総角には、顔が無かった。 首の上に乗っていたのはカカシのような「へのへのもへ字」の偽首だ。 「こっちはヘルメスドライブ対策ね。確かに顔が分からなかったら私も索敵のしようが……」 それから”とある一動作”の後、総角はライスやカレー入りのタッパーを風呂敷に包み 「床に沈んでいったわ。どうやらシークレットトレイルを使っているみたい」 それも自分の衣装や風呂敷に髪の毛を縫いこんで、と付け加える。 シークレットトレイルは斬りつけた物に亜空間への出入り口を作り、創造者もしくはそのDNA を有する物のみ通行を許可する。 「そしてここへ現れたのは、彼の部下がヴィクトリア嬢と共に廊下を走ってきた瞬間。私たち の注意がわずかにあっちへ向いた瞬間ね」 「にしても、いちいち武装錬金の使い方がうまい奴だな」 「感心してどうすんだよブラ坊。カレー盗られちまったじゃねぇか」 御前は丸っこい短足で防人のつま先をげしげし踏んだ。 「大丈夫だ御前。代金は領収済みだ。ライスとカレー合わせて1つ頭680円! ×5名で 3400円、奴はキチンと置いていった。しかも原価を計算し、こちらにいくら利益が出るか 書いた紙まで残してな」 文字が躍る紙をぴらぴらしながら防人はひどく感心した様子だ。 「原価計算も的確。鍛えぬいた俺の眼力でもここまではいかないだろう。敵ながらブラァボー!」 「どうせなら毒でも混ぜたカレーを売って下さい戦士長!」 斗貴子は怒った。その肩へ桜花は笑顔で手を置いた。仏像のような穏やかな笑顔でこういう。 「あら津村さん。何か混ぜようとか考えちゃダメじゃない」 ──「そっちの方がなおさら悪い! そもそも何か混ぜようとか考えるな!!」 斗貴子はカレー調理中にいったセリフを返されて「ぐっ」と歯切れの悪い声を漏らした。 「ところで姉さん、さっきから顔が赤いけど大丈夫?」 「だ、大丈夫。ええ。何もなかったから」 桜花は少しぎこちない笑顔で返事をし、スプーンをきょどきょど盗み見た。 (黙っておいた方がいいか。アレは) 防人は沈黙に徹した。 前述の、総角がカレーを持って立ち去る前の「とある一動作」というのは。 「やれやれ。よそった奴もあったのだが食えそうにもない。というコトで」 桜花の口へカレーをよそったスプーンを無理やりねじ込んだ。 「コレはお前にやる。立ち仕事で小腹が空いている頃だろう」 そしてスプーンを引き抜く総角。 予想外の展開に、さすがの桜花も瞳孔を見開いたがすぐ落ち着き、清楚な佇まいでカレーを 咀嚼すると、ハンカチすら取り出し「ごちそうさま」と言いつつ口を拭った。 「ちなみに使っているのは真新しいスプーンだ。間接キスの心配はない」 「あら。お気遣いありがとう」 桜花はいつもどおり笑っていたが、どぎまぎとした強張りは抜けきらず、今に至る。 「ところで、秋水・桜花。しばらく寄宿舎で暮らしてくれないか?」 「といいますと?」 防人はカレーを一口食べると、ぐしゃぐしゃ噛みながら言葉を続ける。 「どうも逆向はココを狙っていたフシがある。となると奴だけじゃなく、L・X・E残党もだろう」 秋水の脳裏に、去り際の逆向のセリフが蘇る。 「だから寄宿舎を守る人間がいる。だが割符探しや残党狩りも平行してやらなくてはならない」 「2人がココで暮らしてくれたら、戦士全員が戻ってきた時に休養をとりながら敵襲に備えられるの」 千歳は防人をじっと見た。彼の口元を。食べながら指令を下さないでといいたいのだろう。 「そして戦士・斗貴子。キミには主に外回りをしてもらいたい」 「構いませんが、理由は?」 桜花にからかわれた表情を引き締める、斗貴子は問う。 「キミなら戦士・千歳の武装錬金で即座にココへ戻れるからだ」 ヘルメスドライブが移動できる質量は、創造者の体重も含めて最大で100kg。 千歳の体重は47kg。斗貴子の体重は39kg。合計86kg。 「話を聞く限りでは私も一応」 やや羞恥冷めやらぬ桜花もこっそり手を挙げた。こっちは50kgだ。 「そして戦士・秋水。キミにはなるべく寄宿舎に留まって貰いたい。実力的にはキミと戦士・ 斗貴子が防衛の要だからな」 「……分かりました」 目線を落とす秋水。ようやく馴染みかけた部活動を惜しみつつの決断だ。 もっともそういう青々しい胸中の動きは、年配者にはもろに分かるものらしい。 「安心しろ戦士・秋水。部活動もなるべくできるよう俺が調整をつける」 「しかし」 「遠慮するな。剣士ならば鍛える時間も必要だ。それに寄宿舎にいる間は俺のリハビリも兼 ねて軽い戦闘訓練に付き合ってもらうしな。キミはどちらかといえば火渡より俺寄りのタイプ だから(火渡は天才型、防人は努力型)、相性は悪くない筈だ」 秋水の顔は晴れない。全面的な好意をどう受け入れていいか分からないという様子だ。 確かに訓練も大事だが、元信奉者でしかもカズキを刺してしまった自分の都合を、こうも慮 られると嬉しさよりも戸惑いが先行してしまう。 千歳はそんな彼をなだめ、斗貴子は睨む。桜花も笑って諭す。 総角にカレーを無理やり食わされた桜花の頬の火照りはまだ抜けない。 「はっ! またもや不肖らしからぬ悪感情! 一体何が発生しているのでしょーか!?」」 神社の中で小札零はきょろきょろと辺りを見回した。 「む、むむ。この名状しがたきもやもやは一体なんでありましょう……」 小さな胸に手を当てて、ちょっぴり寂しげな顔でつぶやいた。 「神社に1人シルクハットを繕うというのも寂しきコト…… もりもりさんや香美どの貴信どの はいつお帰りになられるコトでしょう。ああ、留守居役を務めし不肖の心はもはや一日千秋」 マシンガンシャッフルというロッドの武装錬金を発動して、振る。 カニが出てきた。冬場に鍋へブチ込んだら美味しそうな、でっかいズワイガニだ。 小札は滝のような白い涙をうぐうぐと流しながら、それに手を差し伸べる。 「我泣き濡れてカキとたわむるといったやるせなさなのであり……あああっ! 不肖の帽子が!」 カニはようやく修繕しかかったシルクハットのツバの部分をバリバリ破壊し始めた。 「お、おやめ下さいカニさん! これでは戯れるどころでは──っ!!」 慌ててカニを消すと、外から物音がした。 「もりもりさん!?」 扉に駆け寄りぱーっと明るい笑顔であける小札に、凄まじい突進が炸裂する。 「あーやーちゃーん!」 快活な八重歯の少女がそのまま小札を押し倒し、馬乗りになった。 「のわああ!? りょ、遼来々!?」 「りょーじゃなくてあ・た・し。栴檀なんとか」 『さっきは名乗れたのにもう忘れているのか香美! ダメじゃないか名前は大事にしなければ! 鳩尾を見ろ、名前のない傷付いた体1つで心がまた叫んでいるんだぞ!』 小札はようやく状況を把握した。 「ば、栴檀どの達でありましたか。されど嬉しきコトには変わりなく。して首尾はいかほど」 「ま、色々あったけどさ、きぶんともども上々ってトコ?」 小学生のような肢体に乗っかりながら、香美は鼻をひくひくさせた。 「えーとね。おっきな建物見はってたら邪悪のゴズマをキャッチして水で峰ぎゃーして可愛い 子を連れておっかないのを踏みつつ置いて逃げて来たからバッチリ」 「ほほう。戦士の皆様方に動きがないゆえ動きに即応対すべく寄宿舎を監視されていたところ 可愛らしいおじょーさんがL・X・E残党に襲われているのを目撃したためほどよく攻撃を仕掛 けて救助するもなぜか復活された逆向どのと遭遇しもりもりさんの助力で切り抜けつつお嬢さ んを寄宿舎へ引き渡しセーラー服美少女戦士のおねーさんを踏みつけて帰還された……と いうワケなのですねっ!」 「そのとーり!」 『はぁーはっはっは! さすが小札氏、実況のみならず香美語の翻訳をやらせてもピカイチだ! 末は恐らく戸田奈津子女史か翻訳こんにゃくだろう!!』 ああ、ツッコミ役が欲しい。 「ところで」 小札は右手を唇の左端にピンと立てつつ栴檀に聞いた。 「ややはばかられますが……その、もりもりさんはおじょーさんに何かおっしゃってましたか?」 栴檀は考え込んで、答えた。 「なんにも! うんうんうん。なんにもいってなかったじゃん。ね、ね、ご主人」 『ああ! もちろん! ちなみにTYPEWRITERという綴りは、キーボードの中ほどに指を伸ば すだけで打てるようになっている!! 理由はタイプライター普及の当時、営業の人がこの 文字を早く打つコトでお客さんの購買意欲を刺激するためだったと思う!!』 「それならばそれで」 (本当のコトいったら落ち込むもんねあやちゃん。もりもりが他の女のコと仲良くするとさ) (食事も3日ぐらいとれなくなるしな! ふはは。どうだこのウソの隠蔽ぶり!) (ああ、貴信どのが訳の分からぬ豆知識を披露される時はウソがある時。きっともりもりさん はおじょーさんに食事の約束を取り付けたりしたのでありましょう……不肖にそれを止める 権利はありませぬが、ありませぬが……ハッ! マズい、不肖の頭頂部がさらし物に……) 動揺する小札の細い肩に、くるりと丸められた香美の拳が乗っかって無邪気に動き始めた。 ネコがよくやる手の動きである。一説では母乳を出す行動の名残らしい。 「ところであやちゃんってさぁ」 薄く汗にまみれた豊かな胸がゆっくりと上下すると、重心が小札の下腹部に移動した。 「な、なんでありましょう。とととととというか、まずその手をば、離……」 小札は身をよじってマウントポジションから逃れようとするが、腰を香美の太ももでがっちり と挟み込まれて動けない。 「可愛いから好き。ほら。あたしのツボって、トカゲとかネズミとかちっちゃいのに素早いヤツ じゃん? だからついじゃれたくなんのよね」 香美は目を細めて、にゃっと笑った。むき出しの八重歯は捕食者のそれだ。 丸い拳は肩口から徐々にずれていき、小さな胸板へと活動範囲を映していく。 畳んだ指のみでピアノ鍵盤を流麗に叩くような仕草で。 タキシードの向こうにある少年がごとき薄い「そこ」を、香美は丸い手でトントン叩く。 いや、その手の動きは拳で揉むといった方がもはや正しい。 小札の口からさざ波のようにか細い吐息が漏れる。 蒸し暑い社の中で少女2人の甘い吸気が混ざり合い、漂うのはえもいわれぬ艶かしさ。 「お、おやめ下さい。頭の中で声が……これ以上はアウトオブマイコントロール……っ とい うかその…… 手を動かされているのはまさか貴信どの? とすれば不肖は」 「どーすんの?」 陶然とゆるんだ瞳で香美は反問。シャギーの入った髪が頬に貼りつき、派手な目鼻立ちに オリエンティックな色気を付加している。 やや詰問じみているのは優位を取っているという無意識の自覚がさせているのだろう。 小札は泣々(きゅうきゅう)とした哀切の瞳を背けて、今にも堰が切れそうな声をあげた。 「……涙枯れ果てるその時まで、泣きじゃくるコトでしょう」 (ありゃあ。あやちゃん本気だ。あたしはフザけてるだけなのに) 香美は手の動きを止めて、頬をかく方に回した。 「え、えーと、そっちは大丈夫じゃん保障つき。うん。だよねご主人」 『勿論だ!! ちなみにやる気を出したい時は豚のしょうが焼きがいい! 総ては香美の手 の動きに任せるまま! 僕は何ら一切手出しをしてないから大丈夫だ小札氏! 』 香美の後頭部から響く謎の声へ、絶妙な合いの手が入った。 「だな!! お前は突風でめくれるスカートは凝視するが、自分からめくったりはしない主義!」 『その通り!! 無理やりは良くない! 確かに良くない! だが偶発的な現象であれば男 たるもの受け入れて楽しむべきだと僕は思う! だからさっきもかすかな弾力こそちょっと堪 能したが、自分からは一切手を動かしてない!! はーはっはっは!』 「フ、ご高説どうもありがとう貴信。なぜその状態かは分からんが、随 分 と 楽しそうだな」 恐ろしい気迫が彼らを衝いた。 振り仰いだ香美は一筋の汗を垂らした。髪も心持ち膨らんでいる。 「うげ。またもりもり」 総角は限りなく友好的で優しい笑みで香美を見ていた。 『ははッッッ! 悪を許すなゲッターパンチーという状態!? 千手ピンチだ!』 総角は認識票を撫でて、黒死の蝶をその手に浮かべた。 『ふぁーはっはっは!! 懲罰ですか懲罰ですね懲罰しかないという表情! 傍観者にすぎ ない僕への裁定としてはやや過剰気味ですがリーダーの裁定であれば従うのみ! 覚悟は できてますからババーンと景気良くサン・ハイどうぞォォォォォッ!!』 乾いた爆音が神社の中へ響いた。 「俺はだな。別に怒っちゃいない。その辺りは分かるな貴信・香美」 神社の中に座って会話するザ・ブレーメンタウンミュージシャンズ(略してブレミュ)の3人。 香美はあぐら。総角は香美と向き合い正座。横には例のタッパーとパック入りのらっきょう。 小札は総角の背後から恥ずかしそうな顔をちょこりと出して香美を見ている。 「う、うん。ご主人はだまっててね危ないから」 後頭部がコゲコゲの香美は必死に頷いた。 『ははは! 穏やかな海が爆音で渦巻く炎が上がる! 今は昂ぶってるからこうだが、後から ダメージがきてぐったりするパターン間違いなしだこれは! 後で絶対テンション低くなるッ!』 煙をブスブス立てる後頭部から、いやに活発な声が上がる。 「ただだな、悪ふざけも度が過ぎるとやられる方は非情につらい」 小学校の先生みたいなコトを総角は言い出す。 『はーっははは! やばいぞむやみに楽しくなってきた!! どうし……うごげば!!』 どこから来たのか、また黒死の蝶が香美の後頭部に炸裂した。 「いいか、俺たちはホムンクルスだ。だが、だからこそ相手の心情を斟酌してやらねばならな い。無意味に傷つけてはならない。でなくば、ただの化物になってしまう」 『いってるコトとやってるコトが違うという指摘は駄……ばじゅらぁ!』 どこから来たのか、また黒死の蝶が香美の後頭部に炸裂した。 「だから小札におかしなちょっかいを出すな。アイツは香美と違ってムードを大事にするタイ プだ。強引に迫られたら本気で泣いてしまう」 「ね、一ついい?」 香美は恐る恐る手を挙げた。 後ろからは『ちょ……火に油をかけたら僕が爆破されるんだが……!』と震え笑いがしたが、幸い 質問の許可は流血爆風いずれもなしで出たので、ここぞと身を乗り出す後頭部コゲコゲ少女。 こんな質問を飛び出させた。 「もりもり、いやにあやちゃんのコトくわしいけどさぁ。強引にせまったコトあんの?」 総角は露骨に目を逸らした。小札もやや頬を染めてあらぬ方向を見た。 「言い忘れていたが、俺は寄宿舎からカレーを買ってきた」 「いや、せまったコトは」 「よって今日の晩飯はカレーだ」 「あたしの質問に」 「晩 飯 は カ レ ー だ」 総角は墨絵調で凄んだ。 「こ、恐い顔しないでよ。カレーも好きだけど食べると胃が荒れるし、やだなー……」 『何をいう香美! ホムンクルスだからすぐ直る!』 「そだけどさ。痛いものは痛いし」 「ちなみにらっきょうは小札のだ。絶対手を出すなよ。手を出したら殺す」 さらっと物騒なコトをいいつつ、総角はパック入りのらっきょうを小札にやった。 「良かったじゃんあやちゃん。大好物だもんね」 「え、ええまぁ」 マシンガンシャッフルの先っぽで鼻をかきながら、小札は嬉しさと照れ半々の表情をした。 ブラボーカレー、なかなか旨い。 3日3晩煮込まれたようなコクがあり、それがトロトロの牛肉に染み渡っている。 肉を噛むたびジューシーな肉汁とカレーのコクが絶妙な配合率で口内にパーっと広がり、飲 み込むのを惜しませる。咀嚼ばかりを際限なく促す。 ニンジン、ジャガイモ、タマネギというカレーという演劇の重鎮どもはどうだ。 おお、肉の柔らかさに比べ彼らの堅牢さはどうだ。 歯ごたえはほどよく順番に、甘味、タンパクっぽさ、えもいわれぬ薬味がそれぞれの解釈で カレーの味をそれぞれの領分に引き上げる。 しかし彼らの派手さに隠れがちだが、ライスの役割もあなどりがたい。 ふっくら水気を帯び、辛味を抑えつつも汁粉における塩のような反作用で引き立ててもいる。 機能的には日本刀の芯に通った柔らかな鉄。見た目は宝石。味覚に瞬く白い輝きだ。 それらの競演はあたかも別料理のようでいて最終的に合致する。 究極ともいえる刺激が舌から高次に立ち上り、脳髄で凄まじい多幸感を分泌する。 (……おいしい) 戦士一同もヴィクトリアもまひろも千里もブレミュ一同も、それだけを思った。
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《公開済》SNM001887 シナリオガイド 公式掲示板 巨大エロたこ+水着=後は分かるな? 担当マスター 西里田篤史 主たる舞台 パラミタ内海 ジャンル 冒険 募集スケジュール 参加者募集開始日 参加者募集締切日 アクション締切日 2012-07-28 2012-07-30 2012-08-03 リアクション公開予定日 募集時公開予定日 アクション締切後 リアクション公開日 2012-08-15 - 2012-08-12 サンプルアクション (シナリオ参加者の方にお願い、サンプルアクションの具体的な内容を補完していただけないでしょうか)(サンプルアクション名の下の四角をクリックするとでてくる「部分編集」をクリックすると登録できます)(もしくはサンプルアクション登録用掲示板へお願いします。) 女性契約者と戦闘 +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 PCが洗脳された女の子たちと海で組んず解れつしてるところが見たい。 ▼キャラクターの目的 女性契約者と戦闘 ▼キャラクターの動機 むしろタコ退治より優先するべきでしょ ▼キャラクターの手段 洗脳されてあんなタコを慕ってるなんて可哀想だよ、早くなんとかしてあげないと。 墨を洗い流せば洗脳が解けるなら海水に浸ければ墨も落ちるでしょ? 服とかは濡れると嫌だから水着で行くけど……ちょ! 水着引っ張らないでってば! エロタコと戦闘します。 +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 エロタコに捕まって、エロいことをされているのが見たい。 ▼キャラクターの目的 エロタコと戦闘します。 ▼キャラクターの動機 巨大タコを退治するつもりだったのですが……。 ▼キャラクターの手段 とにもかくにも巨大タコを退治しないと……と思ったんですけど。 なんなんですかこのエロタコ! どこに触手伸ばしてるんですか! ううう……気持ち悪い……誰か助けてください〜! 水着姿になって男たちを誘惑します。 +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 水着姿のPCが見たい。 ▼キャラクターの目的 水着姿になって男たちを誘惑します。 ▼キャラクターの動機 男たちを内部分裂させて戦わずして勝利したい。 ▼キャラクターの手段 水着姿になって男たちを誘惑します。 この中で一人だけ勝ち残ったらキスぐらいしてあげるって言えば言う事を聞いてくれるかしら? それとももっと凄い事……? まあ、やってあげないんですけど(笑) その他補足等 [部分編集] 【タグ:SNM パラミタ内海 冒険 正常公開済 西里田篤史】
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名称:ほのか【水着】 レアリティ:☆4 アイコン編集 実装日 2021/8/7 クラススキル1 敵単体に風属性の小ダメージ敵単体の魔法防御を一定ターン中ダウン クラス アルケミスト クラススキル2 敵単体に風属性の小ダメージ敵単体のクリティカル率を一定ターン中ダウン 属性 風 とっておき 敵全体に風属性の大ダメージ敵全体の魔法防御を一定ターン小ダウン